荒涼の幕営地

ほとんど完全なプライベート山行ができなかった今夏。
唯一下見で訪れた槍ヶ岳は思いの他静かで、豊穣と荒涼、そして寂寥に満ちていた。

日本のアルピニズムの原点。
垢抜けした山麓と氷河地形の続く渓谷、そして森林限界の低い荒々しい岩肌を見せる稜線。そこに至る道は長く苦しく遠くそしてどこまでも美しい。

ある種向こう見ずな時期にこの山域を歩く機会の無かったことから来る漠然とした恐れ。そんなものが徐々に薄れてきた今、もう少しこの場に浸ってみるのもいいかもしれない。

来年もまた必ず歩く。

 早朝の大正池は霧に覆われていた。

 まだ閑散としている上高地バスターミナル。この時間帯は登山者だけ。

 川霧の立つ梓川と霞む穂高連峰。

 河童橋の人もまばらだ。

 先をゆく登山者。追いつこうとしたが、この二人の歩速には敵わなかった。それでも明神でトイレ休憩を取っている隙に先行する。涸沢へでも行ったのか横尾以降は抜かれることは無かった。

 すっきりと立つ明神岳。

 朝日がテント場にきれいに差し込んでいた徳沢。今回は泊まれない。

 さすがに横尾には多くの登山者がひしめいていた。このほとんどが涸沢を目指す。

 屏風岩。

スギヒラタケ。まだ新鮮で美味そうだ。

スギゴケ。

 いつも心癒される細流。暑い日にはなおさらだ。

 花崗岩が映える槍沢の流れ。

 一の俣の畔では女性が休んでいた。かつてはここと常念乗越に登山道が通じていたそう。

 輝く河原。横尾尾根が見える。

 槍沢ヒュッテ。この手前でSガイドと出会う。

 兜岩。今回初めてその名を知った。

 赤沢。その名の通り鉄分の多い岩の色。

 ババ平のテン場のトイレもきれいだ。

 ナナカマドの実も輝いている。

 大曲。この辺りまではコースタイムを2時間以上上回るペースで来たが。

 ようやく槍沢の上部が開けてきた。見事な紅葉だ。

 赤沢岳とミネカエでの黄葉。

 天狗原へのトラバースを見下ろす。今回は天狗池は割愛。

 穂先が見えてきた。この辺りでペースが極端に落ちる。グリーンバンドまでがこのコースの第一難関。

 坊主の岩小屋。中をのぞく気力も無かった。

 振り返ると常念から蝶への稜線が遠望できる。

 ようやく殺生ヒュッテのテント場に到着。笑顔を装っているがかなりキテいる。

 テントの設営中にあっという間に穂先にガスが掛かった。

 翌日の雨予報を確認し、その日のうちに穂先を踏むため、疲れた体に鞭打って東鎌を登る。

 殺生のテン場。この時点で6張り。右上のオレンジが今宵の我が家。

 肩の小屋。槍ヶ岳山荘ともいう。穂刈さん元気かな。

 肩からは穂先が輝いて見えた。数人が取り付いたり下ったり。

 山頂。素晴らしい視界。

 北鎌尾根も日差しを受けて。

 影槍。

 山頂で写真を撮り合った登山者が証拠写真を追加撮影中。彼もテン場仲間だった。

降りて間もなく日が陰った。

 常念山脈に雲が沸く。

 ここは地の果てか。夏山の喧噪も暖かさも無いひたすら孤独な場所。

 夕餉はシンプル。とにかく寒い。こんな時はビールどころではないのだが。これもけじめなんだ。翌朝は予報に反して4時前から雨になった。

 翌朝は雷鳥との遭遇から。濡れテンが重い。

 東鎌ではクロマメノキがまだ実を付けていた。

 雨に霞む槍。

 シラタマノキも寒々しい。

 ネバリノギランの草紅葉がひと際きれいだった。

 ナナカマドも見頃。

 水俣乗越。今回はここから槍沢へ。

 天上沢方面。

 槍沢方面。

 ナナカマドの実も雨に濡れて。

 ナラタケ。

 上高地ハイウェーも閑散としている。

 清水橋から。梅花藻に雨が降る。

 バスターミナルでは土砂降りとなった。

まずは蕎麦。